幼児期の飢えについて

幼児期のトラウマがその後の人生に影響を及ぼすことは、すでにフロイトが指摘しています。昔、高校時代の英語の副読本に、コップからどうしても水が飲めない若い女性がフロイトのクライアントとしてやってきて、それが、両親がいないときにメイドの女性が犬…

嫉妬について

嫉妬、英語でenvyというのでしょうか、これはキリスト教では七つの大罪のひとつに数えられている、それほど倫理的にも宗教的にも重大な咎のひとつです。envyの意味には「嫉妬」のほかに「羨望」という意味もあります。要するにねたむ以前に羨み欲しがる心理…

百万回生きた猫

確か有名な絵本に表題のような作品があったと思いますが、猫を飼っていると、フィクションではなく現実のことのように思われる体験が少なくありません。と申しますのは、あくまで主観なので、客観的な証明や証拠があるわけではありませんが、うちにいる猫の…

前回の補足

前回、表題に「二つのこと」と書いたのに、不思議な体験は一つしか書いていなかったことに気づいたので、補足としてもうひとつのことを書いておきます。 こちらは前回のようにはっきりした出来事ではないのでうまく伝えられないかもしれません。 あれは私が…

不思議なこと、二つ。

あれは私が高校2年生の6月ごろでしたから、今からもう40年近く前になります。その前年から私は虫垂炎の兆候が出ていたのですが、そのつど注射で抑えていました。それが17歳になったばかりの6月のある朝、猛烈な下腹部の痛みに突如襲われ、吐き気も止…

昭和を繰り返す

私は昭和30年代生まれなので、当時の映像や物を見ると、とても懐かしくなります。37年というと日本は高度成長期の後半で、その前後に東京オリンピックや大阪万博がありました。高度成長期と言っても、私は当時福岡と熊本の県境の小都市に住んでいました…

二つの表象(イメージ)

人間の精神的発展は、それに現実が対応するような表象と真実でもなく純粋に心理的な出来事であるところ表象との間に存する相違を自覚することのない段階を経てきた。未開民族について私たちがいろいろ耳にするところでは、彼らは、覚醒時において感じるのと…

「世界」とは

「主観的な現存在も客観的な現実性も統一的な世界像を形作ることはない」 ~ヤスパース『哲学』より~ 「世界」という言葉はなにげなく使われていますが、ちょっと考えるとその意味の範囲が意外と確定しにくいのに気づきます。「私」から見た「世界」は、彼…